P.A.WORKS Blog

2017年富山本社新人歓迎会挨拶備忘録

 皆さんは今までにアニメーションの作品を見て、そこから感動を貰って、自分もこんな仕事に就きたいと考えた人たちだと思います。

これからスタッフの1人として作品の制作に参加することになりますが、自分がやりたいこと、出来ること、望まれることが次第に見えてきます。もちろん、入社したばかりの皆さんが今見えているものと、5年、10年、20年の経験を経て見えてくるものは違います。一歩ずつ階段を登って、何かを獲得した後に見えてくるものがあります。

 皆さんのようなクリエイターは、日常見ているものを独創的な視点で切り取って、それをどのように表現して、人に伝えるかというのが仕事だと思います。創作の過程で、ものの見方についてやってみて欲しいことがあります。作品で描いていることに、自分の周りで現実に起きていることを置き換えてみて欲しいんです。
 例えば、アニメーション作品の多くの物語は、主人公が様々な問題にぶつかって、苦しみながら奮闘して壁を突破して、自分の可能性を広げていく成長譚です。それを色々な物語の形に置き換えてエンターテインメントにしたものです。これらの作品を制作するときに、制作している自分の状況や姿勢とリンクさせて考えてみると面白いと思います。

 4月から放送が始まった【サクラクエスト】を制作しながら、P.A.WORKSと地域との関係や、共同体の存続というものについて僕は考えています。
会社も、皆さんが在籍する制作チームも共同体です。間野山にはいろんな人がいるように、会社も全員が一流の職人ということはありません。持っている優れた技術だったり、人に教える素養だったり、面白い視点の発想力だったり、リーダーシップだったりムードメーカーだったり、それぞれが持っている良さを集めることです。共同体全体のパフォーマンスを上げるために、自分がやりたいことは何か、やれることは何か、望まれることは何かを考えることが、共同体の存続に繋げられるんじゃないかと思います。
【サクラクエスト】の制作を通して少しずつ見えてきたことを、今後のP.A.WORKSの活動や、制作現場にフィードバックしていくと思います。

【有頂天家族2】は、父と息子の関係が物語の1本の軸になっています。原作はまだ完結していませんが、個人的には、男の子が成長して父から自立する物語と、創作の女神的な魅力の弁天と矢三郎の関係が今後どうなるかを楽しみにしています。
この父と息子の関係を、皆さんなら教えてくれる師匠と自分との関係に置き換えて仕事をしてみるのも面白いかもしれません。
矢一郎のように、とても越えられそうにない偉大な父の模倣を目指すべきか、二代目のような拒絶の道を進むのか。この二つを同時に抱えて、師匠に対するアンビバレントな感情に苦しみながらも、自分の殻を内側から破って自立していく過程を自分の物語として想像してみるとかね。
自分が描いた物語と比べながら【有頂天家族】の完結を楽しみに待つのも良いと思います。

仕事を与えられて、ただスケジュールに追われて作るのと、その物語の一部にでも今の自分を重ねられるのでは、描くことの説得力も、そこに込められる熱量にも違いが出てくると思います。
 P.A.WORKSもアニメーション業界も、今は様々な問題を抱えて闘っている状況にあります。僕らはその壁を打ち破って乗り越える物語を思い描いて、現実の世界でも制作現場でも闘う。その姿勢で創作でも闘うヒーロー(ヒロイン)を描いていこうと思います。

子どもの頃見た映画や、読んだ本の世界に自分を投影して皆さんが勇気づけられたように、皆さんが作った作品は、皆さんが考えている以上に見てくれた人々を元気にする力があります。
皆さんが作った作品から人生に勇気を貰って、自分もこんな仕事がしたいと考えてくれる人が増えたらいいですね。

月, 4月 24 2017 » P.A.WORKS Blog

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