P.A.WORKS Blog

若手アニメーターのアンケートから考えること

 11月の14日に、若手アニメーター育成事業【アニメミライ】に参加する原画マンに話をする機会がありました。
出席した二十数名の新人原画マンにアンケートを配布して4つの簡単な質問に答えてもらいました。

①どんな仕事の選び方をしているか。
②どんなときに満足を覚えるか。やりがいを感じるか。
③「将来あんなアニメーターになりたい」と思えるポイントは何か。
④現状に何を望むか。

 やりがいのファクター…自律性への欲求と、有能性への欲求と、関係性への欲求を知りたかったんですね。
回答を集計してみると、多かったのはこんな内容です

①新人なので選べない。与えられた仕事をやる
②描いたものに納得できたとき。褒められたとき
③上手くて稼げてスケジュールが守れるアニメーター
④収入

 なるほどね…。
どれもシンプルな答えだけれど、これから何をすべきかを考えるきっかけになりました。

 この4つの質問にどのように応えていくかを考えることで、新人アニメーターの現状を持ち上げられる気がします。

①【仕事の選択の機会】
 仕事の割り振りには彼らに選択の機会とそれに伴う責任感を。
まだ力量を自己判断できない段階では、その力量を把握し、長期育成的視野に立ってアドバイスできる指導者が必要。
アドバイザーには企業の育成方針にのっとった権限が与えられなければならない。

②【やりがい・達成感】
 仕事の評価を直接受ける機会の工夫。
主体性と達成感と探究心が刺激されるよう、評価の方法とタイミングを工夫をする。

 新人アニメーターとの関係で、評価の機会と権限を持つスタッフは、演出と作画監督ですが、現行のシステムで人材育成的な意識を演出と作画監督はどれだけ持っているのか。

 演出が若手アニメーターを指導する資質、力量には現状大きな個人差がある。
演出の育成者としての技量を養成する必要がある。指導方法、待遇を見直す。
1クールのアニメーションが主流になったことで、制作期間中に監督による徒弟制度的演出指導期間が無くなった現在、中長期視点で監督と演出の関係を築く代替システムを考える必要がある。

③【将来の目標】
 技術面、仕事に対する姿勢でロールモデルとなるアニメーターが同じ職場にいることが理想的環境。
 卓越した技術以外の面で目標となる先輩アニメーター、若手の目標となることを意識しているベテランアニメーターの数が少ないことがアニメーション業界の大きな問題。
 業界でも具体的ロールモデルになるアニメーターにスポットを当て、彼らの情報を若いアニメーターに継続的に広め、将来に目標と希望を見出しやすい方法を考えられないか。

④【現状への欲求】
 ほとんどのアニメーターは出来高契約なので、まず平均的水準まで生産性を向上させること。
生産量が頭打ちになったところからは、出来高以上の付加価値を意識する。
企業はアニメーターのどんな付加価値、貢献に対して報酬を支払うかを示す。
付加価値分を制作予算から捻出することは厳しいのが現実。
制作費以外の収入源を創出するのは制作会社の企業努力。

 今回のアンケートで見えてきたP.A.WORKSがやるべきことはこんなところです。
若いアニメーターの育成を考えるなら、育成指導者の養成、中堅、ベテランが彼らに手本と希望を示すこと。
最近の若手アニメーターの力量を問うよりも、指導者、特に演出の養成に手をうつほうが先だと思えてきました。中期取組になりますが急がば回れです。

 若手が現状に望むものの第一が「収入」であることを見ても、アニメーションの仕事に望むものは昔とは変わってきています。
これは悪いことでは無いけれど、離職率が上がる原因になっているでしょうね。

 僕ら40代~50代のベテラン世代はアニメバカで、収入に目をつぶって我武者羅に『好きだから』の一心で今までやってきたけれど、その結果、若手の目標となりえておらず、希望も示せていないと思います。
申し訳ない。
 そんな先人の具体的失敗例を回避しながら、若手はこれからのアニメーターのキャリアパスを模索して築いていかなくてはなりません。
才能、資質だけで、長く充分に食べていけるアニメーターは50~100人に1人でしょう。
それではさらに圧倒的労働力不足に陥ります。
①~④の取組は、アニメーターと演出の高い流動性を抑制するような、制作会社とアニメーターの良好な依存関係を見直す必要があります。

 今の彼らは手元の仕事をフウフウいいながらスケジュールに間に合わせるだけで、他のことを考える余裕なんて全く無く、どんどん技術を吸収して日々刺激に満ちているでしょうけれど、30歳になる頃にはちょっと先の将来を意識し始めて欲しいですね。

金, 12月 7 2012 » P.A.WORKS Blog

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