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経済的な右手

【RDG】スタッフルームの白壁に木製のロゴがついていました。
賑やかですなあ。あっ、クリスマスが近いのか・・・ここに緑が欲しいですね。

 今週は東京と富山を行ったり来たり。
東京はポカポカ快晴でも富山は大荒れ。新聞によると1日に700を超える落雷があったとか。
千メートルほどの赤祖父山の頂も白くなりました。
冬の始まりです。

 上京する深夜バスを待ちながら、沢木耕太郎のエッセイ【バーボン・ストリート】を読み始めまして。
『奇妙なワシ』では、スポーツ紙に氾濫する紋切型の文章表現について書かれています。
アニメーションのパターン化された作画表現について最近考えていたところだったので、興味深い内容でした。
スポーツ・ジャーナリストの文章表現の現状にも共通するところがあるのかもしれません。
この本は1984年に出版されたものですけどね。

 ちょっと長くなりますが引用します。
「少ない字数で、しかもできるだけ速く書かなければいけないスポーツ記者にとって、わかってはいるがなかなかやめられない (中略) 試合終了後、数十分以内に電話送稿しなければならないというような綱渡りをしている彼らには、多少文章の力を弱めることになっても、やはり早く書き進められる紋切型に頼らざるをえないところがあるのだ」

 うーむ、締切に追われるTVシリーズの原画と似ていますね。
いやいや、それで納得していては作画表現の進歩が止まってしまいます。
一部の卓越した原画マンから斬新な表現がポツポツとでも出てきて、
「おっ、新しい表現が出て来たぞ」と、放映を見た原画マンの間で意識されると、業界全体に流行り出す。
この50年そうやって優れた作画表現はアニメーターの間で流通、継承されてきたと思うんだけどなあ。

 両手を広げて感情的に訴える男のオーバーアクションを見て、この作画表現はいつから流行ったんだろうと思い出してみると、僕が最初に意識したのは【AKIRA】だったかな。
日本人は人に語りかけるときにこんなに両手を動かすんだろうかと、自分の日常で意識してみると、けっこう動かしていますね、右手は。
話ながら無意識にずっと動かしている。
何か思い出せないときなど、手首をクルクルと回して刑事コロンボのピーターフォークみたいです。
この不規則な動きをTVシリーズで表現するには枚数がかかりすぎるし、
『やってる、やってる』感が出て逆に鼻につくかもね。匙加減が難しい。
経済的な枚数で自然な動きを表現しようとすると、片手のリピートゼスチャというのが落としどころなのかしらん。

 
 もう一つ、胸の前で手を組む少女の仕草。
この表現の元祖は宮崎駿監督作品のヒロインかな。
まてよ、星飛雄馬の明子姉ちゃんかもしれない。
でも、この信心深い仕草をしている少女を実際には見たことがないと長年思っていた訳です。
オーバーに仕草をつけるのは、作画のシルエットでも感情が解るからとも考えられますよね。

 ところが先週食事をしていたら、高校生の息子がカミさんに笑いながら訴えるのです。
「ねえ、お母さん、頼むから胸の前で手握るのやめて。それ、ヘンだから。何歳だと思っとるの?」
こんなに身近にいたとはビックリ!少女から遠くかけ離れてなほ!!

 僕はまだまだ観察が足りないようです。
みなさんの周りに戸惑う少女がいたら、是非手の仕草に注目してみてください。

土, 11月 17 2012 » P.A.WORKS Blog

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