P.A.WORKS Blog

欲しい言葉がみつからない

 P.A.WORKSホームページのブログを立ち上げた頃の投稿を開いてみました。
そこに【何故かマツコの自炊日記】を見つけまして。
そういえばあったな、そんなコーナー。
あれから3年。自炊は続いているのかと松子に訊いたところ、先日ミネストローネをいっぱい作って【RDG】スタッフに振舞ったのだそうです。
「おお、継続は力なり」
「ミネストローネが凝った料理かは微妙ですけど」
「まあ、な」

ついでにスタッフの評価はどうだったかと訊くと、篠原監督には
「ふつうに、美味かったと言われました」
‘褒められた’ではないんですね。
『ふつうに、ですか?』

 今度は手作りクッキーを差し入れして監督に食べてもらった感想は
「よく噛むと、甘いな」
『よく噛むと?』

 女性を褒めるのは難しいんです。
これはちょっと言葉が余分だった例。
篠原監督が気づいているかは分かりません。

僕もあります。
「松子、最近女性になったな」
「元から女性です」
これなんかは逆に言葉が足りない例。
女性らしく、というのが正しかった。

女性が髪を切ったことに気づかないのは男としてどうかと言われたことがありまして。
気付いていますよ。いちいち指摘するのは男として抵抗があるじゃないですか?
そんな男の美学は時代錯誤も甚だしいと一蹴されるのです。
いやあ、若い世代の男性諸君には同情しますよ。
それで、最近は僕もこっ恥ずかしいけど口にするようにしたんです。
「おっ、床屋へ行った?」
「床屋じゃありません」
これは言葉の選択の間違い。

「秋らしい服になったな」
「夏もずっと着てましたけど」
これは適当さの露呈。
もう無理。僕は貝になりたい。

そういえば、昔カミさんから「私のいいところを10個挙げてみて」、という拷問を受けたっけ。
「う~むむむむむ……………全部?」
却下でした。これは誠意が足りない。
僕と同じ過ちを犯した男性は世界中にいるはず。

 もちろん、こんな仕事をしているんだから、言葉に興味が無い訳じゃないんです。
セリフを考えるのは楽しいし、人に伝える言葉の力を信じている。
けれども、感情や意志を正しく伝えるには日常使用している語彙が乏しすぎる。

 キャラクターの日常会話に自然さを求めるあまり、使用するセリフの語彙が限られているとも感じています。
難しい言葉ではなくても、シンプルで美しい日本語ってありますよね?
それを伝えていく責任も僕らにはあるんじゃないかと思うこともあります。
それが可能な仕事だから。

 そんなわけで、日ごろから意識しないと使用する語彙は増えないので、せめて何か書くときぐらい類義語を調べて広げたいと思うのです。

 今日のブログのタイトル案も上京するバスの中で考えました。
『称賛はむづかしい』・『褒めるのも一仕事』・『持ち上げるのもたいへんだ』
これは大好きな作家、丸谷才一の著書【挨拶はむづかしい】【あいさつは一仕事】【挨拶はたいへんだ】からだから、それも気が引ける。

うーむ、欲しい言葉が見つからない。

月, 9月 24 2012 » P.A.WORKS Blog

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