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僕らのヒーローの条件

 日曜、月曜日に長野県の戸隠に行ってきました。これが3回目。
小説【RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた】(荻原規子 著)の舞台です。

 ゴツゴツとした稜線の戸隠山は修験の地として知られています。
有名な「蟻の塔渡り」を修験者や忍者がシュタタタタッと走り抜けたのでしょうか。
【RDG】の篠原監督は以前のロケハンで、この上級者向け登山道を登りたそうでした。
群馬県の妙義山といい、こういった奇勝は人を惹きつけるんでしょうね。
監督どうぞ。僕は命が惜しいです。

 僕はヒーローもののTV番組を観て育った世代なので、そのうち熱いヒーローアニメーションを作りたいなあ…なんて考えていたら、こんなタイトルの本がありました。
『ヒーローを待っていても世界はかわらない』(湯浅 誠 著)
これは聞き捨てならんな、と、リュックに詰め込み長野に向かう武蔵野線で読んでみました。

 今の僕にとってヒーローの定義とは?
【TARI TARI】10話の横手美智子さんのシナリオには、ウィーン(肉レッド)のこんなセリフがありました。
「夢を奪い、希望を笑うやつ!それを俺たちは悪と(呼ぶ!)…なんで、最後まで聞かない!」
流れの関係で放映ではそのセリフはカットされましたが、ウィーン、イイヨ、イイ。

 希望のある未来を描き辛い今だからこそ、ロマンを提示できる奴がヒーローになればいい。
ロマンとは、大勢の人々の夢と希望を入れることができる器なのだ!
ヒーローは大きな器を作り出してくれる奴なのだ。そう思っています。
そんなヒーローは待っていても現れないないよって言われたら、ねえブツブツ。

 この本はとても解り易く書かれていました。
閉塞感で先が見えない不安は不満に変わり、怒りの矛先を向ける対象を作り出す。
システムを敵に仕立て上げて声高に「倒せ、倒せ」と叫ぶだけでは現状は何も変わらない。
デカいことを誰かにやってもらおうとする前に自分たちでやれることをやれ。
例えば云々、という内容でした。

 ふーむ。既得権益敵視か。15年くらい前のアニメーション業界がこんな感じだったかな。
今も現場の現状はあまり好転していないにせよ、業界内には不満の矛先を向ける強い相手もおらず支え合っている運命共同体になっちゃった印象です。
 収益構造の見直しに危機感を抱いて、アニメーション作品の新しい価値を生み出そうと誰もがもがいている。
全体が小さなコミュニティーでシンプルに繋がっていますからね。

 ビジネスモデルの開発と同じくらい制作現場には深刻な問題があります。
個人クリエーターの生産力が職人としてのピークを越えた時、企業は彼らにどんな将来の道を提示できるかです。
アニメーション業界の若者を育成する上で、分けて考えてはいけない問題です。
高い技能を身につけた者の育成者としての道
資質を活かせる事業部への転籍
普遍的なデザインの低年齢層向け教育番組の企画
起業のサポート
 この4通りの選択肢を用意すること以外思いつきませんでした。
でも、この本を読んで、まだまだ視野が狭いことに気づかされました。

 長い参道を歩きながらロケ中考えたことを、帰りの新幹線で角川の安田さんに投げて答えてもらいました。
ふーむ、時間は無いけどもっと考えてみよう。

 ま、そんなことを考えながらも困難に立ち向かうヒーローを近い将来アニメーションで描きたいですけどね。

 僕らのヒーローに敵がいるとすれば、夢と希望を創造する忍耐と努力を放棄する姿勢ってことですね!

土, 9月 15 2012 » P.A.WORKS Blog

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