P.A.WORKS Blog

刻んだ瞬間の入れ物

 昨日は『湯涌ぼんぼり祭り』点灯式でした。天候が回復してよかったです。
全国から集まっていただいた皆様、ありがとうございました。
点灯式で思いつくままに挨拶をさせていただきましたが、その時の気持ちを記憶しておこうと思います。言葉足らずの補足も兼ねて。

 作品制作は制作者にとって生きた証しなんですね。ずっとアニメーションを作ってきて、この先あと何本つくれるか分からないですが、作品はずっと残るわけです。そう思えばこそ、一本一本の作品にその時の力を精一杯込めようと思うのです。
 過去に制作した作品を見なおす機会があると、技術的にまだ力及ばなかったところがあったとしても、それが当時持っていた技術を最大に込めたものであれば悔やむことはなく、次回作はまたさらに上を目指そうと思うわけです。

 技術面とは別に、作品には当時の想いやエネルギーが切り取られて封印されているものなんでしょうね。何年か前にじょうはな座で【true tears】の試写イベントがあって、もう一度見直したときに蘇ったドキドキした感覚や、先日【CANAAN】のブルーレイBOX発売の告知ムービーを見たときに蘇った、あの熱量と懐かしさの正体は何なのかと考えてみました。
 きっと、制作当時に体感したエネルギーや想いや記憶が凝縮されて作品に刻まれていて、見直したときにそれが一気に解凍されてブワッと体内に流れ込んできたのだと思います。
 昨日nano.RIPEがライブで「瞬間の輝きが僕らのテーマ」と話していました。
それを聞いて、彼らアーティストにとっては、その瞬間の想いを凝縮して刻印する入れ物が曲なんだなと思いました。僕らの作品と同じです。

 【花咲くいろは】は強い想いで制作した初の完全オリジナル作品で、さらに2クールを現場の勢いで乗り切った作品です。
その作品から生まれた『湯涌ぼんぼり祭り』が、こうして湯涌温泉街の人々と、訪れたみなさまによってこの先も続けられるのなら、制作者にとってこんなに嬉しいことはありません。
だって僕らの生きた証が、制作者と、作品を長く大切にしてくれるみなさまと、舞台になった湯涌温泉街のみなさまによって毎年歴史を刻み続けるということですよ。そんなことは狙ってできるものではなく、奇跡のようなものだなあと昨日肌に感じたわけです。

 こんな幸せな出会いがこの先幾度訪れるかは分かりませんが、毎年『湯涌ぼんぼり祭り』が巡ってくる度に、【花咲くいろは】制作当時の記憶を解凍して気持ちを引き締め、この先の作品制作の糧にようと思いました。
視聴者にとって長く愛される作品は、制作者にとっても年月を経て解凍したときに、色あせることのない当時の情熱がブワッと溢れ出てくるものなのだと思いました。
これからもそんな作品作りを目指したいと思いますし、若いスタッフにも1本でも多く体感してほしいですね。

火, 7月 24 2012 » P.A.WORKS Blog

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