P.A.WORKS Blog

何かアイデアが足りない。

以前制作会議で、現場からの不満に耳を傾けるよう話をしまして。

あれから週1回、定例制作会議の終わりに少しずつ話を進めています。

新人制作の育成について、どんな取り組みをしているか、忘れないようにちょっと纏めておきます。

 

まず、各セクションから制作への要望を集めました。

そのほとんどは、ちょっと意識すればできることです。

それでも、何年も同じことが現場で繰り返されるのは、何かが足りないのです。

「これが出来ていない。現場からはこういった不満がある。注意しましょう」

「情報の事前提供が必要。コミュニケーションを密に取る」

それを纏めて当たり前のことを再確認しても、日々繁雑な業務の中ではなかなか徹底できません。

「意識」するだけでは何かが足りない。どうすればいいんだろう。

できるだけ具体的に検討できるよう、まず、最もスケジュールが逼迫する撮影、仕上検査セクションに絞って考えることにしました。

「二つのセクションに制作が求めることは何か」

「その為に制作ができることは何か」

新人制作から提出されたレポートは興味深いものでした。

『俺は一所懸命やっている。スケジュールが無くなるのは俺のせいじゃない。いろいろ不満はあるだろうけれど、納期があるんだからなんとか間に合わせてよ』

もちろん、そんなことは書かれていませんが(笑)、行間から人間味溢れる切実な訴えが滲み出ています。

 

それを読んで。ああ、そうか。解った。

「俺は一所懸命やっている」その自己評価の甘さが問題じゃないか。

それを言葉で説明しても効果は見込めないでしょうね。自覚できる何かが必要です。

制作工程での判断は正しかったのか、客観的評価からくる自己認識が改善の一歩ではないか。

何か客観的評価になり得るものは無いか。

 

【花咲くいろは】の制作が終わったところで、撮影のT2スタジオさんから数値のデータをいただきました。

この数値データ中の話数別リテーク率は興味深いものでした。

35%~142%までの幅があります。

概ね制作能力とリテーク率は反比例することが解ります。

今後リテーク率を1つの客観的評価基準として、納品後にリテークの原因が何によるものだったかと、その改善策を担当は考えるようにしよう。

無駄なコストの軽減にも繋がるんじゃなかな。

もう1つ興味深かったのは、最終話のデータです。

全話数中最もスケジュールが短く、最も物量の負荷が大きかったにも関わらず、リテーク率が低かった。

辻Pが自ら担当して回しました。

Pが制作工程で何をしてリテーク率を下げたのかを新人制作に語ります。

ただスケジュールと物流を管理するだけではなく、クオリティーをコントロールするために、制作は影の演出である、ひと手間惜しまないことで表には出ないファインプレーがある、と云う話ですね。

これも話を聴くだけでは「なるほどね」で終わってしまいます。

今までずっとそれを繰り返してきたような気がする。

聴いただけではダメなようです。どう自分の取り組みに取り入れるかを考えるステップが大切。

答えは与えてはいけない。

辻Pの話をどう理解したか。仕事にどう活かすか、各自纏めて辻Pにレポートを送信することにしました。

Pは自分が伝えたかったことが新人にどれくらい理解されているかを知って愕然とすることになるかもしれません。

改善への関心度も読みとることができます。

育成は無力感との戦いです。根気根気。

 

客観的評価方法をもう1つ考えました。

制作のシミュレーション能力評価。

話数担当者は編集時のフィルム状態をシミュレーションします。

スケジュールが無くなってくると、本撮、タイミング撮、動撮、原撮…と、様々な段階の絵が入り混じります。それぞれ何カットになる見込みか。

その状態を4週前から予想します。この数値を正確に割り出すには、経験と細かいシミュレーションが必要です。

編集4週前の予想値、3週前の予想値、2週前、1週前、そして結果。

その推移を毎週見ていれば、「一所懸命やっている」制作のシミュレーション能力と対応力は明らかになります。

力があれば数値変動は少ないし、無ければ編集が近づくにつれて呆れるほど急激に状態が悪くなります。

数値が理想から乖離し始める原因が早い段階で判れば様々な手を打てます。

その結果で、新人は個々のシミュレーション能力を客観的に評価しようというものです。

2つの客観的評価がどのような結果をもたらすかはこれからです。

 

更に。制作デスクやPは現場からの不満や問題に「意識」で解決することを求めるだけではなく、対応をシステム化するよう話し合って貰いました。

今はそのシステムの検討に入っています。

迅速な不満対応こそが現場との信頼関係を作ります。

『何度言っても改善されない』と、諦められたら終わりです。

 

制作の新人育成と改善に今まで足りなかったものは何か。

答えは与えてはいけない。自己改善を促すものでなければ変わらない。

先輩が後輩の育成に関心を持って取り組む。

後輩の制作工程と進捗状況に関心を持つシステム、それすらアイデア1つです。

最も大切なのは、僕が育成と改善に取り組むぞ、と云う強い姿勢をずっと示すことなんでしょうね。

経過の記録でした。

日, 10月 23 2011 » P.A.WORKS Blog

Top Footer