P.A.WORKS Blog

素材から映像をイメージする力

撮影から上がったムービーをチェックしていると、緒花の複雑な髪形や花の髪飾りに目がいってしまいます。

『花咲くいろは』の作画は日常芝居が中心です。

緒花の頭のような複雑な造形の、ゆっくりとした動きの方が、実はダイナミックなアクションよりも、作画は細やかな神経を要求されることが多いのです。

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例えば上の緒花が、手渡されたバイト料を見て立ち眩みを覚え、頭をゆっくり振ったりすると、

変化したあらゆる角度で、全てのパーツの移動幅をきっちり合わせながら、髪飾りやモジャ毛の纏まりを描く必要があります。

 

この計算が適正でないと、ムービーにした場合に、そのパーツだけが独立したおかしな動きをします。

髪飾りだけ頭の動きと微妙に合っていなかったり、一部の髪の毛の纏まりだけ不自然な体積変化や動きをします。

でも、この間違いを原画の紙面上で確認すると、ほんの1mmにも満たないズレだったりするんですよね。

パラパラと見ても僕には判断がつかない。

そのズレを防ぐために、アニメーターは細心の注意を求められます。

上手い原画マンや作画監督の描く原画の体積変化や角度変化、軌道は精密機械のように正確なのです。

相当に最終画面のリテークを意識して経験を積んできたのでしょうね。

 

原画の時点で判断するのは極めて難しいけれど、ムービーでチェックすれば間違いも分り易いので、工程のデジタル化が進んでからは

「ムービーで結果を見てから判断」することが多くなっているように思います。

この判断の先送りが今後何をもたらすことになるのか。

集中力や緊張感の欠落、ムービーになってからのリテーク率の増加、無駄な時間とコストもそうですが、

アニメーターや演出が、原画とタイムシートだけを見て最終画面をイメージする力が弱くなっていくのだろうと思います。

 

水, 8月 31 2011 » P.A.WORKS Blog

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